今やドイツ語文中では男性・女性名詞を簡略的に併記するのが当ったり前なのか?
ドイツ語の男性名詞や女性名詞はどれもこれもと自然の性と対応するとは限らない、ということは多言を要しないでしょう。
自然の人間(男女)や動物(雄雌)の性に該当するドイツ語の男性名詞や女性名詞がたまたま、見出されるというのが実情でしょうか。
その場合、男性名詞があれば、対応する女性名詞もあります。
対応する女性名詞がなく、いわば男性名詞だけで男女両性を意味する、そんな名詞もあるかも知れませんが。
いくつかの例, 男と女:
der Schauspieler / die Schauspielerin
der Präsident / die Präsidentin
der Mann / die Frau
der Gatte / die Gattin
der Minister / die Ministerin
der Sprecher / die Sprecherin
der Anwalt / die Anwältin
der Arzt / die Ärztin
der Schwimmer / die Schwimmerin
der Dirigent / die Dirigentin
der Redner / die Rednerin
der Fußballer / die Fußballerin
der Tänzer / die Tänzerin
der Autofahrer / die Autofahrerin
der Leiter / die Leiterin
der Chef / die Chefin
der Künstler / die Künstlerin
der Hausmeister / die Hausmeisterin
der Notar / die Notarin
der Mitarbeiter / die Mitarbeiterin
der Freund / die Freundin
der Koch / die Köchin
der Täter / die Täterin
der Sänger / die Sängerin
いくつかの例、オスとメス:
der Hund / die Hündin
der Stier / die Kuh
der Kater / die Katze
英語にも男女別々を言い表す、それぞれ、ご指名の、特定の名詞があるかも知れませんが、普通は男女の性別を余り意識、区別せずに男女の共通要素を表現しているようです。
例えば、ダンサーという英単語。a dancer に該当するでしょうが、これは男性のダンサーを指しているのでしょうか、女性のダンサーを指しているのでしょうか。有る英国人に当該単語を耳にした時、何を思うかと質問した所、男性ダンサーとも女性ダンサーとも思わないという返答。
「男性・女性名詞」を平気で併記するの?
男性、女性に当該するドイツ語名詞を一緒に並べて記する、つまり併記することです。
最近、ドイツ語記事に目を通しているとしばしば発見します。
初めて目にした時には、ほおー、と関心を惹かれたり、変に感心してもいました。
尤もこんなこと、大いに取り上げて云々することでもないのかもしれません。
そんな風に併記することに決めたらしい記者にそのことを指摘すれば、
「そんなのあったり前だ!」
と一蹴されてしまうかもしれませんね。
オーストリア発のインターネットサイトからの例証
Eine verbindliche Patientenverfügung muss schriftlich mit Angabe
des Datums vor einer Rechtsanwältin/ einem Rechtsanwalt (→ ÖRAK ), einer Notarin/ einem Notar (→ ÖNK ), vor einer rechtskundigen Mitarbeiterin/einem rechtskundigen Mitarbeiter der Patientenvertretung errichtet werden.
InformantInnen
Abonennt*innen
Verbraucher:innen
☆ ☆
ドイツの方に目を転じて見ます。
Bürger:innen
ドイツ国発信のドイツ語記事を読んでいると、毎度というか、時々、 「コロン」(ドイツ語で Doppelpunkt または Kolon )で繋がったドイツ語名詞が散見されます。
手元の日本製独和辞書を紐解いてもこんな綴方をした単語は出てきません。知らぬ間にドイツ国ではそうした書き方を導入したかのようです。
Bürger(男性・複数形) + Bürgerinnen (女性・複数形)> == Bürger:innen (男女合併・複数形)
目で見れば、たしかに男女複数名詞が併記してあるということが平気に理解出来そうですが、
どのように発音するのでしょうか。または発音はしない?
発音するためにそのように記されているのではない?
コロンも発音するのでしょうか!? コロンの所で息をちょっと止めるのでしょうか。
この合併語を声を出して読むと、それは女性語だけが読まれているかのように聞こえるのではないでしょうか!?
つまり、男性語は無視されているように聞こえるのではないでしょうか。
女性語の勝利に落ち着くようになっているかのようです。
とっても賢い書き方を編み出したように見受けられますが、どんなものでしょうか。
ドイツ発祥のウェッブサイトを見ていたら、Kund*innen といった風に記されているのが観察されました。
「コロン」の他にも、このように「アスタリスク」
(ドイツ語で Sternchen )が使われているらしい。
目で見たり読んだりでそれが男女名詞複数形の合体を表現したものと分かりますが、
声を出した限りに於いては、女性複数形名詞としか聞こえてきませんでしょう、ね。
どちらもドイツ語アルファベット、その他をインプット出来るコンピュータ用キーボード上に見られる記号ですね。
これらの記号は複数形合併を見て読んで知らせるために採用されているかのようです。
* *
ドイツ人によるドイツ人のためのドイツ人の知恵の賜とでも言えるのでしょうかね。
それはそうと、どうしてこんな書き方を導入したのか、紙幅、または単語数を減らすため?
そうかもしれませんが、私が思うに、それよりも人間感情が絡んだもっと深い理由があるようです。
ドイツ人全体がそんな感情を抱いている、抱いてきたのでしょうか。
ドイツ語の「性別問題」が「性差別」と捉えらるようになったのでしょうか。
いわゆるジェンダーレスにさせる、「男女平等」にしなければならないという人たちの主張が勝ちを収めつつある結果でしょうか。
これもいわゆる女性人権運動の歴史が今日に至っても息づいている証左でしょうか。
* *
オーストリアではコロン等を両性単語の間に導入するというドイツ式とは異なった取り組み方をしているかのようです。
同じドイツ語圏ですが、ドイツに見習え、という風にはなっていないようです。
男女両性に対してドイツ語で言及する場合、大抵、男性名詞と女性名詞とをずらずらと併記しているのを良く見ます。
一時、両性単語を合併させたオーストリア式な試みも数年前見たことがありますが、まだ通用しているのか、確かではありません。
男女複数単語を併記するという書き方、でも女性名詞が先に、男性名詞は後に記されています。
まあ、どちらかが先にならざるをえないような書き方しか出来ないからでしょう。
ここでも女性が優先されているかのようです。
”Ladies and Gentlemen" という英語挨拶表現も良く耳にしました。
ドイツ語で ”Damen und Herren” ですね。
Eine Woche lang wollen Klimaschützerinnen und Klimaschützer in Österreich
für Wirbel auf den Straßen und auf öffentlichen Plätzen sorgen.
Die Klima-Blockaden in Wien sind auch Mittwochfrüh weitergegangen.
Aktivisten und Aktivistinnen der "Letzten Generation" haben gegen 8.00 Uhr
unter anderem den Äußeren Gürtel beim Westbahnhof "gesperrt".
Liebe Leserin, lieber Leser! これは複数の人たちに向かっての挨拶ではありませんが、
E-mail Newsletter の冒頭、やっぱり女性が先行しています、私は別に文句を垂れている訳でありませんが。
MitarbeiterInnen
小文字の " i " ではなく、大文字の " I " に注目。 以て、男女両性(複数形)を別々にではなく、一発で表示、表現している、ようです。
Ich habe Mitbewohner:innen
大文字の " I " を援用する代わりに、コロンで以て男女両性(複数形)を同時的に表示している例ですね。
☆ ☆
"Ich habe eine:n Partner:in, mit dem/der ich zusammen wohne."
こんな一文を目にしてどう感じられますか。実用に耐える文でしょうか、
それともこんな風に、ドイツ語では、書き表すことも出来るようになっていますよ、という一例を見せびらかしているのでしょうか。
この主語 Ich には女性の、そして男性のパートナーが一人、一人、つまり合計二人います、
その二人と一緒に同居しています、と言っているのでしょうか。
現実的に考えて、パートナーとは一人、とは限らないのかも知れませんが、
男女のパートナーが同時に自分には二人同居しています、ですか?
この私 Ich とは誰のことでしょう!?
男性であるかもしれませんし、女性であるかもしれません。
どちかに最終的には特定されるのでしょうけども。
考えてもみてください。
私 Ich が男性の場合、このオレには男女それぞれのパートナーを一人一人、合計2人います、
同居しています、ってどういうことでしょうか。
私 Ich が女性の場合、このあたしには男女のそれぞれのパートナー一人一人、合計2人います、
同居しています、ってどういうことでしょうか。
私が男であれ女であれ、男女のパートナーがそれぞれ一人一人、合計2人いることには変わりないでしょう、か、ね。
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いえいえ、そうではありませぬ、といった声が聞こえて来そうですね。
どう解釈するのが正しいのでしょうか、
読む人の勝手でしょうか、
この一文を書いた人に直接訊くしか、その意図は分からないのでしょうか、ね。
「そんなことも分からぬのか!?」
とまたまた一喝、または一括されてしまうのでしょうか。
参考までに、、、ドイツ語の記号
( : )Doppelpunkt o Kolon
(;) Semikolon
( - ) Bindestrich