「わたしは寒い」、「あの人達は寒い」、「あの動物たちは寒い」
もう夏も終わり、秋の真っ最中。
夏のトレーニング習慣からまだ抜けきれていなかったためか、
その日はいつもの通り半袖、半ズボンで家を飛び出し、
ジョギングのためにいつもの川沿いの土手、散歩道へと向かいました。
助走しながら感じたこと、寒い!
走り続けていれば体も温まって来て寒さも感じなくなるだろう。
そのまま寒いのをしばらく我慢していました。
それでも呟いていました。
「寒いなあ」
と、ドイツ語ではどう言うのだろうか、と思ったのです。
Kalt!
Es ist kalt.
「わたしは寒い」をドイツ語に訳すとどうなるか。
文字通り訳そうとするでしょうか、ね。いわゆる直訳ですね。
それともそんなことはもうしないでしょうか。
最初はそんなこととは知らず文字通り訳していたかもしれません。
”Ich bin kalt.”
サウナがわたしは好きなので、機会があれば良く利用します。
中でじっとしていると汗がじわじわと出て来ます。
「熱い!」と思いました。
それとも「暑い!」と書くのでしょうか。
独訳を考えました。
"Es ist heiß hier! "
それとも
"Ich bin heiß!"
本当にこれで良いのだろうか。
英語に直訳してみると、
I am hot!
英語を一生懸命に勉強していた当時、いつのことだっただろうか、
この英語表現は気をつけていないといけませんね、
と言われたものです。
場所やら状況を弁えないとちょっと誤解を招きかねませんよ。
忠告を受けたものです。いわゆる大人の英語に属するとか。
ドイツ語の世界でも同じなのでしょうか。
私の寒いという思いやら感じを伝えるためには独語訳も
それ相応のドイツ語を使わなければなりません。
ここまで読んできてもう正解を用意している方もいらっしゃるでしょう!?
寒いなあ、という独訳、はい、これですよ、ね? →
えっ見えないですか。
* *
ジョギングを続けていると、
何人かの男の人たちがたむろしているのが見えました。
寒いのは私だけではない筈。
「あの男の人たちは寒い」と日本語で思いながらも、
独訳を試みていました。
Die Männer sind kalt.
家に戻って来てから、こうして自分で文字通りの直訳をした後で、
眺めているうちに、あの男の人達は皆、たとえば”死んでしまって”
冷たくなっている、という風に解釈できるのではないか。
そう思った次第です。
死んでいる人たちを見たのではなく、この寒さの中、
わたしと同様に、寒いと感じていると推測したのですが。
正解、正しい独訳文はどうなるのでしょう!?
これか→ Den Männer sind kalt.
いや、これか→ Den Männern ist kalt.
やっぱり、これか→ Die Männer sind kalt.
* *
あの有名な?オンライン語学サイトで仏語・独語ドリルをやっていたら、
こんな表現にぶつかった。
”La mouche a froid.”
(英語に訳せば、The fly is cold. となるでしょうか!?)
尤も昆虫(ハエ、のこと。はい)が寒いと感じるものなのか、
まあそれはさておき、とにかく、
これを独訳せよ、というドリルです。
Die Fliege ist kalt. と文字通り ”直訳” してみました。
ドイツ語文法的にはどこにも間違えはないでしょうが、
最初の仏語の意味をちゃんと伝えているのか、と問えば、
伝えていませんと言わざるを得ないようです。
別の仏語・独語ドリルにもチャレンジする文が出てきていました。
ついでにご紹介しておきます。
Le garçon a froid.
その少年は寒い。
これドイツ語訳するというドリルですが、どうでしょうか。
少年はドイツ語で Der Junge と訳していますが。
こちらに記してみますか →
(ちょっとした落とし穴に落ちないようにご注意!)
* *
Ich bin kalt. または Ich bin heiß. と独訳しても私の寒い,
暑い(熱い?)思いは表現できていないのと同じことのようです。
正しい独訳はこれ → Der Fliege ist kalt.
Der Fliege だって? Fliege は女性名詞ではないのか!?
と、とっさに思われた方、確かにその通りなのですが、
ここでは Der が使われている。
それが重要ポイントです。
何が重要なのか、もう察しがついたのではないでしょうか。